なんてん

あぁかい実
なんとしょう
雪のうさぎのおめめにさ
あぁかい実
なんとしょう
雪のお椀であかまんま
あぁかい実
なんとしょう
雪のだるまの稲穂かんざし
あぁかい実
なんとしょう
雪がちぃとも積もらんで
うさぎもお椀もだるまも出来ぬ
積もらんのぅ
つまらんのぅ

新年の雪

新たな年を清めるように
細かな雪が舞い踊る
屋根の瓦を白くして
木々の枝葉を白くして
眠る枯野を白くする
やがて雪は様相を変え
水気の多いぼた雪となる
まるで
冬の終わりのようなぼた雪は
次第に激しい降りとなり
目指す真っ赤な郵便ポストを
またも僕から奪い去る

異変

その小さな紅い実は
新年を迎えぬうちに
食べてはいけないのではなかったか
重みで枝が垂れるほど
みっしりと実をつけて
鳥たちを誘惑するのだが
その小さな紅い実は毒を持つ
年を越し、寒さに当たり
徐々に毒気が抜けて
ようやく口にすることができるもので
餌が尽きる冬場において
鳥たちには貴重な食べ物であるはずだ
それだのに
土蔵の屋根を越すぐらい大きな木に
たわわに実った紅い実を
ひと粒残らず食べてしまっている
暖かな冬が早々に毒を抜いてしまったということか
そして
鳥たちはそのことを見抜いた上に
この実を食べ尽くしてしまっても
新しい年に困ることはないと知っている
右往左往しているのは
我々人間だけなのかもしれない

トナカイのクリスマス

サンタがそりに乗り込み
再び出発しようとしたそのとき
いきなり窓が開いて
小さな男の子が叫んだ
「メリークリスマス!」
思わず振り向いたトナカイは
男の子と目が合った
「メリークリスマス!」
男の子はもう一度叫んだ
トナカイは首を大きく振った
シャンシャンシャン……
凍りついた空を駆けながら
トナカイは自分の胸に
得体の知れない温かなものが
じわりと広がるのを感じていた
やがてそれは
トナカイの目尻にぽちりと浮かび
小さな氷の粒となって
きらきらこぼれて星になってゆくのだった

遅い雪

柿の木の枝に 雪積もる
うっすらと
眠りを誘うように 雪積もる
実はどうしたかと
目を凝らすが
たちまち霧が立ち込めて
視界はすっかり失われてしまう
きっともう
実を食べ尽くされた柿の木は
うっすらの雪に術をかけられ
霧が晴れる頃には
ようやく
冬の眠りにつくのかもしれない

冬の庭

花は落ち
葉も落ち、僅かに緑の残る
静寂の庭にヒヨドリ訪ね来て
鋭い声で鳴きたてる
炬燵のまどろみから覚めた老人が
「来たか」とつぶやき立ち上がる
少しして
庭にしつらえた餌台に
半切りにしたハネモノの林檎が
ポンと置かれる
どこで見ていたのか
早速現れたヒヨドリは
ひと通り警戒をしたのちに
半切り林檎を一心に啄ばみ始める
そのうちメジロも来るのだろう
暮れてゆく静寂の庭に
小さな灯りがポッと点る


ほくほく

雪ではなく
雨が降る十二月に
気温差だけではなく
何か調子がとれていないように感じるのは
石焼きいも屋の
のんびりとした売り声が流れないからか
ぴぃぃぃと甲高い笛のような音を出して
ゆっくりとトラックを走らせる
石焼きいも屋が姿をみせぬ
湯気の向こうで
軍手をはめた手が
窯のなかのよい頃合のいもを選り
茶色の紙袋に放り込んでゆく
「いしや~きいも~ や~きいも~」
来たからといって
勇んで買いに行くわけでもないのだが…ね


師走風景

小さなまちの商店街は
ささやかながらも
クリスマスの拵(こしら)えとなり
神社の鳥居には
「元旦祭」の看板が掛けられ
和菓子屋のウィンドウに
「賃餅承ります」の貼り紙がされた
ハナミズキの紅い実は
いつの間にか尽きてしまい
橙色の柿の実は
残り僅かで朝に凍える

十二月十四日

白雪ならぬ枯葉の道を

シャカ、シャカ、シャカ、と踏み行けば

あれもひとつの「ONE TEAM」かと

師走の風が聞いてくる




昨日のあれが最終便だった
いつものように見送った
あれが最終便だった
低いエンジン音を轟かせて
大きく右に旋回し
遠ざかってゆく白い機体は
あれが見納めだったのだ
葉が落ちて
枝ばかりになったイチョウの木に
いつものように集うふくら雀と
見上げる空はからっぽだ

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Moonlight

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