淋しい三日月

相変わらず寒いけれど

昼間はきれいに晴れていた

けれども

今夜の三日月はぼんやりと

夜空に輪郭を滲(にじ)ませて

早々に引っ込んでしまったよ

どこか加減でも悪いのなら

すりりんご 作ってあげようか

山の陰で しくしく泣いているなら

温かい毛布を 掛けてあげよう




十六夜の涙

凍える夜空に滲むほど

涙にくれる十六夜の月

お小姓の星たちは

目配せし合って襖を閉めた

これから雨になるのだろう

やがては雪になるのだろう




ショータイム

白く冷たい息の先で

目張りの満月は刻々と欠けてゆく

まばゆい光は徐々に広がる赤みに追われ

やがて細い細い爪痕となり 消えた


再びの満月はシフォンのヴェールの向こう側

行き場を失った光は

月の周りに大きな暈(かさ)を作る

それでも光は地上に届き

凍りつく雪の塊をきらきらと照らし出す


禍々しくも美しい 凍える夜のショータイム





月のうた

このうたは

いつ

誰に教えてもらったのだったか


さぞや今夜も美しかろうと思った月は

妖しく渦巻く黒雲の彼方にある

風の悪戯か

一瞬だけみせたその姿はまるで

夜空にぽっかり開(あ)いた丸い穴だ

再び闇夜に戻る刹那

思い出しかけて取り逃がす記憶


このうたは

いつ

誰に教えてもらったのだったか

本当は忘れてなどいない






夜道

ザック ザック ザック と昼間歩いた雪の上に

日が落ちてから積もった新雪が眩しいよ

満ち満ちてきた月の光が煌々と照らす帰り道

凍てつく夜空の星の瞬きに気を取られ

新雪の下に隠れる氷の道に ご用心ご用心




冬の半月

時雨ながらも青空に

うっすら浮かぶ上弦の月

いかにも儚いその月に

鈍色の雲が迫り来て

あっという間に呑み込んだ

ぱらぱらと降りかかる雨は雪になり

自転車の少年を冷たく濡らす



三日月

あの三日月の鋭い切っ先が

やわらかなきみの胸を切り裂いたのか

そうしておいて

夜の早いうちにさっさと姿を消したのだな

あまりの切れ味に血の一滴も落ちてやしない

だがきみのやわらかな胸のひと筋の傷は、深い

その痛みにのたうちまわり涙を流しても

きみは決(け)して三日月のせいではないというだろう

いいのだ三日月のせいにしたって

きみはわるくないきみのせいじゃない

全ては切っ先鋭い三日月のせいなのだ

ああああ僕に出来ることといったら

三日月が消えた辺りをイライラと

ただ睨みつけることぐらいしかないのだ




見えない月に

夕方から雨になり

やはり本当の満月は拝めないのだった

昨夜あんなにでかでかと登場したのは

今夜の雨を予想したからなのだろう

雨は冷たい冷たい雨だ

忘れたと思っていたことを

またぞろ思い出させる雨だ雨




大きな満月

雲が流れる

次々と流れてくる雲は
「あいすみません。
どうしてもここを通らなきゃなりませんで。
ご容赦、ご容赦」と
大きくて立派な満月の前を
遠慮しいしい駆け足で抜けてゆく

当の満月は雲の流れなど
全く意に介していないようで
その光には一瞬の翳りもない

ただ流れ込む雲は白いのだが
満月の周りの雲は小豆色に染まっている

「不思議なこともあるものだ」
毛布に包まり足踏みしながら
寒いお月見をしている小鬼の腹がぐぅと鳴った



祈り

小春日は短く
束の間の温(ぬく)さは
早くも傾き出した陽のせいで
あれよという間に冷えてゆく

枝に残る柿の実は
いまにも溶け出しそうな熟柿となり
朝を待たずに
ぽたりと地面に落ちてしまうだろう

昼過ぎに昇った半月は
雲に閉じられたあと
つれなく沈んでしまった

この長く暗い夜に僕は祈ろう
眠れぬひとたちの為に
疲れ切った彼らの元へ
穏やかな眠りが訪れるように
僕は祈ろう



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