月夜

明日は雨かもしれぬから
満月手前の十五夜を
そっと眺めて過ごす夜

昼は見事な晴天ながら
日暮れ時には湧き出る雲、雲
気を揉み何度も確かめるうち
幸い雲は薄雲となり
冷えた空気に冴え冴えと
輝く月の美しさ

「寒い」とからだを丸めたのは
凄みを増した月光に
心の奥を透かされぬため
いざとなったら臆病者の
ひとり月見の夜が更ける





十三夜

主(あるじ)無くとも庭の木々
それからそれへと色づいて
池の水面に錦を映す
たわわな実りの柿の木に
ヒヨドリたちが声上げる

かつては月見もしたろうに
屋敷の雨戸は閉ざされて
「曇りなし」の十三夜
今宵は雲に阻まれて
朧(おぼろ)に浮かぶ後(のち)の月

森閑とした夜の庭
月の光もままならず
昼の賑わいはどこへやら
石灯籠も凍え出し
落ち葉もひっそり眠りつく




椿の実

昼に上ったほぼ半月は
秋晴れの青が透けるほど
儚い白さで浮かんでいる

秋の短い日が暮れて
ほぼ半月が輝く頃に
薄墨色の雲が流れ出す

「元気をお出し」

ぴくんと驚く小鬼の後ろで
ぱかりと口を開いた椿の実が
つやつやぴかりと光ってみせた



夜の囁き

冷たい雨は小止みになったが

タクシーも通らぬ街路は寂しく光る

暖かくしておやすみなさい

温かいものを飲んでおやすみなさい

見えないけれど

支度中の細々とした月の囁きが聞こえてくる



逢いたい

十五夜お月さま
ちょっとだけでもいいから
逢いたかったな

そうつぶやいた朝顔は
紫色の花びらを
くるくる巻いてしぼんでゆきました



十五夜

十五夜のこの月を

いったいどれだけのひとがみつめていることだろう

きれいに晴れた夜空に堂々の月

雲をやり過ごしすぃっと出た月

気まぐれな雲の間からちらり覗く月

そのどれもが美しく強い光を放つ

寒さを我慢しての月光浴

今夜は良い夢をみたいから





ぼんやりな月

月はぼんやりと浮かび
数を減らした虫の声は侘(わび)しく
雨のせいか風のせいか
花を散らした金木犀は黙したままだ

月も動くが雲も動く
ややあって
ぼんやりな月は
長く幅広の厚い雲の向こうから
驚くような光を放ち
雲の縁を明るく照らす

きみはもう
ぼんやりではなくなったのだな




子守り月

今宵の月は朧(おぼろ)にて
滲(にじ)む光に心も滲む

消え入りそうな朧の月に
闇の雲が触手を伸ばし
ゆるゆるゆると囲い込む

「可愛いあの子が寝つくまで
いましばらくのご猶予を」

夜風が雲を動かして
闇の触手を追い払い
ほぼ閉じかけた帳(とばり)を開けて
朧な月を連れ戻す

やがて
小さな寝息を聞きながら
朧な月は消えてゆく
安堵の吐息をつきながら
朧な月は消えてゆく





また明日

今夜の月は

あのひとが連れて行ってしまったから

半分より少しだけ丸みを帯びた月は

雲が切れても顔を出すことはないよ





弦月の夜

月も出ぬまま

更けゆく秋の夜(よ)

雨の乾いた歩道では

不幸な蚯蚓(みみず)が横たわる

弾けた弓弦(ゆづる)を思わせて

不幸な蚯蚓が横たわる



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