歌う山茶花(さざんか)


「元気をお出し」と歌う山茶花

鮮やかなピンクの花も

清廉な純白の花も

林を抜けてきた風に揉まれて

美しい花びらを一斉に散らすのだが

そのぱらぱらという音を合いの手に

「元気をお出し」と歌い続ける山茶花

きみのために




木の葉の行方

風が吹くたび舞う木の葉のロンド

秋の陽に金色の輝きを得て

くるくると円を描きながら舞う木の葉たち

目指すは青く澄んだ秋空か


風が吹くたび寄せくる木の葉の波

秋の陽のぬくもりを抱いて

かさこそと囁きながら寄る木の葉たち

ここで大地の糧となろうか




滴(しずく)


ふと手を伸ばし触れてしまった

紅いもみぢ葉の冷たい滴が

袖口からつつと腕をなぞって落ちてゆく

小さな小さなめくらへびなら

もっとゆるゆる這うのだろうな



紅(くれない)

ほとりと落ちた紅(くれない)の葉は


からころとアスファルトの上を転がってゆく


風もないのに


坂でもないのに


ほとり からころ 何処へゆくのさ




ピラカンサスに聞いてみた


半分にされてしまった木は

それでもたんと実をつけた

失くした半身の分を補うかのように

小さな紅い実をたんとつけた

それならそれなら

驚きの丸坊主の姿にされた木も

年が明け 秋を迎える頃には

小さなオレンジ色の花をたんとつけて

くらりと酔わせてくれるかな

何事もなかったように

くらりくらくら 酔わせてくれるかな




かぼちゃ


百鬼夜行の諸君



きみたちは



万聖節の鐘が鳴り響くとき



降り出した黄金の雨に



身も心も一瞬にして灼かれ



黄泉の国へと還されるのだよ





落ち葉


嫌なことは


嫌と言ってよかったのか


今頃気づく黄昏の秋に


季節外れの走馬燈が


狂ったように廻り出す





秋空に


天高く


小型機の機影を振り仰ぎ


遠ざかるエンジン音に秋を聞く




秋の日

切通しの坂を下り

小さな川に突き当たると

ざざぁっと風が吹きつけてきた

思わず顔を背け

腕で顔をかばい

ぎゅっと目をつむった

ひとしきり吹いた風が大人しくなると

再び鳥たちのさえずりが始まる

赤や黄色や橙の葉っぱが川面を流れ行く

小さな小さな橋の下を

はにかみながら流れ行く




ジョウビタキ


電線に止まり

澄んだ秋空に向かって

金茶色の腹を反らし

上下に尾を振りながら

変わった声で鳴いている

そう きみだよ きみ

名前はなんというのだい




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Moonlight

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