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2016年12月

餅つき

さてもめでたや ぺったんこ
力をこめて ぺったんこ
小鬼の餅つき ぺったんこ

さてもめでたや よいよいよい
力を合わせて よいよいよい
こびとの餅つき よいよいよい

さてもめでたや ぺったんこ
臼と杵とで叩き出せ
ひとを惑わす災いを

さてもめでたや よいよいよい
千本杵で突き上げろ
ひとに取り付く厄なるものを

やれ ぺったん
それ よいよい
新年迎える準備はよいか









※一年間ありがとうございました。
 これで今年のつぶ納めと致します。
 また来年お目にかかりましょう。
 皆さま、どうぞ良いお年をお迎え下さいませ。
                        くまきろり

 

はぐれ鳥

湿った雪が融けながら積もる朝よりも
カラカラに乾いた夜更けの方が
しんしんと冷えてくる
冷気を防いでくれていた
厚くて丈夫なマントは
或る日突然大きく翻ると
夜の闇に吸い込まれていった
なにかにぎゅうと押し潰されそうな胸と
喉が詰まるような違和感が
またぞろぶり返してくる
置いてきぼりのはぐれ鳥に
年越しの術(すべ)などあるものだろうか



靴下の話

しゅうしゅうと
鉄瓶が湯気をたてる火鉢の傍で
小さな小さな靴下を編む祖母
ひよこ色と白の毛糸が
みるみる編みこまれてゆく
祖母が編み物をするとは
初めて知った
「おまえのときは商売が大変な頃でね
編み物どころじゃなかったよ」
まだ生まれてもいないのに
従弟(いとこ)がちょっと羨ましいと思った

遠い遠い昔の話




柿の実のお話

へたばかり残った柿の木に
雀がこぞってやってくる
へたの裏にはまだ少し
おいしい柿の実まだ少し
ちょっこり残っているんだよ

くちばし大きいひよどりには
取り切れなかった柿の実だ
でもひよどりは言うだろう
「くちばし小さい雀のために
わざと残した柿の実なのさ」

雀は雀で言うだろう
「くちばし小さい私たちが
ちょっとも残さず食べ尽くす
お掃除屋さんのようでしょう」

柿の木は言うだろう
「くちばしの異なる鳥たちのおかげで
清々と眠りにつくことが出来る
有難い、有難い」





クリスマスの晩餐

里芋を煮た
美味しくできた
お芋がいいからだ

白ネギの味噌汁を作った
美味しくできた
白ネギがいいからだ

クリスマスの晩餐



メリークリスマス

サンタが来たら

トナカイのそりに

こっそり潜り込んでしまおう

どこか知らない寒空を飛び廻ったら

全てを忘れて

ゼロに戻れるかもしれない



欲しいもの

クリスマスを前に
またたくさんの魂が消えてゆく
幼きもの 小さきもの
年古りたるもの 大なるもの
生き物の魂 モノの魂
火により水により
風により土により
抗し難い病により
正義を標榜する武力により
或いは
信じ難い変心の言葉
知らずともよい真実の暴露
屁理屈が生む破壊
かき乱されて
かき乱されて
魂がまた消えてゆく

サンタクロース
欲しいものは心の平安だ



尋ね人

ああちゃんは待っている

大きなケヤキの木の下で

ああちゃんは探している

大きなケヤキの木の下で

思いがけず失くしてしまった自分が

ひょこひょこと戻ってくるのを待っている

枯れ草に絡まって戻れずにいるのを探している

すっかり葉を落とした

大きなケヤキの木の下で




朝の風景

冬の朝陽は坂道の下からやってくる

林や建物の隙間から

ぎゅんと光が射ってくる

目覚めた腹ぺこひよどりは

枝に残った熟柿啄(つい)ばむ

つつん、つつんと熟柿啄ばむ



厄介もの

そうだ

そうだった

哀しさや淋しさは

いつもあとになってやってくる

ひたひたと忍び寄り

徐々に渦を巻いて

一気に襲い掛かってくる

ケラケラと気味の悪い笑い声を響かせて

時間も場所もお構いなしにやってくる

厄介なやつだ



サンタクロースのプレゼント

幼稚園にサンタクロースが来ました
北欧フィンランドから来ました
長いおひげは白い巻き毛です
「ホーッホッホッ」と笑います

そうして
大きな白い袋のなかから
手品のように次々とプレゼントを取り出します
子どもたちは大喜びのおおはしゃぎです

見慣れぬ男の子がひとり
サンタクロースにこっそり聞きました
「おとなもプレゼントもらえるの?」
「ホーッホッホッ。おとなにもちゃぁんとプレゼントはあるよ。
けれどそれは目に見えないものなんだよ」

「目に見えないものってなんだろう」
冷たい壁を背にした小鬼は
小さな水たまりに張った氷を
足先で突(つつ)いてはパリパリ割ったのでした



左様ならば

頑張ろう

頑張れる

そう思い
唇をぎゅっと結んで
肩を怒らせ
踏ん張って立ってはいるけれど
時に
ぐずぐずと崩れ落ちてしまいたくなる

きみには知る由もないだろうけれど
今夜僕は
ぐずぐずと崩れ落ち
北風にさらわれ
見知らぬ土地の枯野原に撒かれ
子どもたちの賛美歌を聴きながら
静かに眠りにつきたいと願っている



杏色の月

氷が張った池の水面(みなも)に

杏色した丸い月が光る

きらきらと

闇のなかできらきらと光る

よく見りゃそれは

池の端に立つ丸い街灯の灯りだった




ふたつの時計

ボクの時計だけが止まっている

キミの時計はつつがなく

ぐんぐん先へ進んでゆく

新しい世界をどんどん広げ

すいすいと進んでゆく

みるみる遠ざかってゆく

ボクはぽつねんと闇に留まる

ボクの時計だけが

止まっている




足あと

陽が落ちかかる雪野原
右に左に縦、横に
斜めにゆけばぐるりと廻る
小さな子どもの足あとと
喜び勇んの犬の足あと

点々と続く可愛い足あと
今頃大きな立待月が
きらきら照らしているのだろう



眠り猫~雪~

眠り猫に雪降り積む

何度も足を滑らせながら
白い息をはぁはぁさせて
急ぐ坂道気がはやる

降り積む雪の隙間から
小さい頭が覗いてる
冷たく濡れてしまったけれど
きれいなままの眠り猫

お堂のそばの小さなお墓
手向けの山茶花持ち寄って
次々こびとらがやってくる
小鬼といえばからだを凍らせ
わぁわぁ泣いて泣き止まぬ



眠り猫

道端の草の上で眠る一匹の仔猫
四肢をぐんと伸ばし
時折行過ぎる車の風を受けても
身じろぎもせず眠り続ける仔猫
そのしっかりと閉じられた目は
二度と開くことはないのだ

カラスの鳴き交わす声が近づいている



月と虫

千鳥足の酔っ払いの吐く息も白く
コンビニの駐車場で笑い転げる若者の吐く息も白く
緊急呼び出しで車に乗り込む技術者の吐く息も白く
あきらかに氷点下へ冷え込んだ空にかかる
満月前の月はよりいっそう白く冴える
口ごもり呑みこんでしまった数多(あまた)の言葉は
胸のうちで白い虫となり巣食っている
どんどん数を増やした虫たちは
やがて両の目を覆い尽くし
白い滴となって流れ出すのであろうか



気高き月

風は空のずっと高いところで唸り続け
雲を追い、塵を掃き
清浄な夜空を準備した

見よ、あの凛とした十三夜の月を
瞬く星たちは
女神を崇めるかの如く
離れたところで感嘆の煌き

風はいよいよ唸りを増し
容赦なく地上を冷やしてゆく
見よ、あの凛とした十三夜の月を
暴れまわる風をものともせずに
尚いっそうの気高き姿を夜空に印す



白の香り

あれこれと
思案顔をうつむけて
寺の脇道をゆく小鬼

行過ぎてから
ふと足が止まる

小さな鼻先を
ふぅわりとよい香りがかすめたのだ

きょろきょろ見廻すと
寺の垣根の山茶花が目に入る

白い花たちの微笑みの香りだ

「元気をお出しよ」と
小鬼に微笑みかける香りだった



冬の白百合

やわらかな陽射しが
観音の背を温める
その陽射しは
萎れてうつむく白百合の
閉じかけた口元から
ほんのり香りを誘い出す
朽ちかけた古い墓に手向けられた
白百合の花束
故人の好きな花であったろうか

「さよさん、来たよ」
中折れ帽を被った老人が
故あって添えなかった恋人のもとへ
好きだった白百合の花束を抱えてやってくる

ふわりと香ってくる白百合が
そんな幻を連れてきた



帰り道

ちぎれた布団わたのような雲と

短い尾を引いて横切ってゆく飛行機の

白い豆粒のような機体

見上げる青空にもうひとつ

薄くて白い半分の月

背中で踊るランドセル

黄色い帽子と一緒に駆けてくる

日暮れはそこまできているよ

道草くわずに帰ろう 帰ろう



小銭の夢

数えた小銭を握り締め
マフラーをぐるぐる巻きにして
急ぎ足で踏切渡る
小雪舞う夜道の銭湯通い
暗い線路脇の細道は
銭湯の入り口の灯りが頼り
辛いとも思わずにいたのは
まだ夢をみていたからだろうか




儚(はかな)きもの

時雨雲の薄鼠(うすねず)色に

幻のような虹架かる

じっと目を凝らせば

みるみる消えてゆく儚き虹

濡れながら待つ信号の長さも忘れ

消えてしまった虹の痕跡を探すせつなさよ



柿の木

残り少ない柿の実は

先にひよどり

後(あと)すずめ



小噺(こばなし)

家族総出で収穫中の

リンゴ畑の脇道を

ゆるゆると進む軽トラは

仕事始めの焼き芋売り

季節外れの暖かさの日に

「石焼き芋、ほっかほか」


きみの星

きみの魂は
いまどこにあるのだろう
夕暮れの空を眺めたら
細くてきれいな月のそばに
きらきら光る星があった
あれ、きみだろう?
空に昇ったきみの魂だろう?
「ごめん、お先に」って
右手をちょっと上げたきみだろう?
いつかボクが追いつくまで
待っていておくれよね



心迷い

口の端につぃと出た呟きが
強い北風にさらわれて
あっという間に墓地を抜け
杉林を抜け、エドヒガンの森を抜け
廃業した皮膚科の洋館の
錆び付いた風見鶏に当たり方向を変え
寺の竹林を揺さぶって
ああ、もういけない
もう追えない
呟きはあのひとに届いてしまうだろうか
途中、岩壁に突き当たり
粉々に砕け散ってはくれぬだろうか
本心であるようなそうでないような
心迷いの呟きだから



爪を切る音

ぱちん、ぱちんと
爪を切る音が響く

長い廊下の壁を背にした
診察の順番を待つソファ
向かい合わせに
ずらりと並ぶ診察室のドア
待つ人も少ない午後の廊下に
ぱちん、ぱちんと
爪を切る音が響く

車椅子の老人はまどろみ
本を読む学生はあくびをかみ殺す
暖房の効いた
午後の気だるさのなかに
老婦人が繰り出す
ぱちん、ぱちんと
爪を切る音が響く



デモンストレイション

ふと見上げた青空には

たくさんの飛行機雲

右に左に縦に横に

すっと細く伸びていたり

時間が経ってもこもこしていたり

薄雲が広がり始めた空をキャンバスに

飛行機雲のデモンストレイション





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