僕の流星群


凍える弦月が沈んだら

お待ちかねの流星群は

僕のからだのなかで次々と流れるのだ

闇を裂いてひゅんひゅんと流れて突き当たり

ちっと小さな音を立てて燃え尽きるのだ

そうして僕のからだは

無数の焼焦げでひりひりが止まらない



熟柿



誰の手も借りることなく


静かに熟れゆくたわわな柿の実


冬枯れの里の彩り


哀し 哀し



冬の鷹


電柱のてっぺんから

田圃をじっと見下ろして

獲物を待つノスリの羽は

すっかり冬毛に衣替え

ふかふかと膨らんだ羽のなかは

さぞや温かなことであろう

そっと手を差し入れて

抱き寄せることが出来たなら

波立つ心も静まるだろうか





初雪



冬の田に撒かれた野菜屑

目ざとい一羽の烏がやってきて

迷わず選ぶ白菜の芯

おとついの初雪のような

白い白い白菜の芯






水切り

少年の手を離れた小石は

小春日に揺れる水面を

二度三度と鋭く跳ねてゆく

おおぃ、少年

僕も投げてみてくれよ

上手く跳ねられるか分からないけれど

ちゃぽんと沈む水底が

本当の居場所のような気がするのだ





仔猫

足を痛めた仔猫なら

柔らかなイチョウの葉の上を

ゆっくり歩くがよかろうて

庭の小石を踏まぬよう

みゃあと甘えた声で鳴き

抱き上げてもらうがよかろうて



残り柿



しぐれしぐれて寒そな柿の実

傘の代わりの葉は皆落ちて

黒雲流るる空を見廻し

鳥の訪れ待っている

鳥よ はよう啄ばんで

おまえのその温かな

胃の腑のなかに収めておくれ

はよう はよう 収めておくれ



黄葉の小舟



真白いさざんかの花を

微かに揺らすその風は

雑木林で色づいた葉の先を

諭すように流れてゆく

スローモーションのように舞う黄葉は

きら きら と遊泳して

湯気の上がる露天の湯に着水し

ゆら ゆら と揺れる小舟に早変わり






訪れ

いつそこへ降り立ったのか

川沿いに続く田圃の一角に

真白い雪が積もるかのように

二十羽ほどの渡り鳥が羽を休めている

川のなかほどでは

数羽がその真白い大きな翼を

代わる代わる広げたり

長い首を流れのなかに差し入れたりしている

そうして傾き始めた冬の陽を浴びて

時折 こう こう と声を上げているのは

冬の訪れを知らせているのだろう



色々と



枝から離れた紅い葉は色を失い

枝に残る紅い葉は暗く沈む

黄色の葉は枝から離れ

地面にあっても眩しく光るが

それもやがては埋もれてゆく

淋しさを増す景色のなかで

最後の彩りは金茶色の葉

地面がその色に染まるとき

季節は一歩 また進む




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Moonlight

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